今回のダイヤモンドは、南アフリカ産ダイヤをベルギー・アントワープの世界最高峰のダイヤ研磨業者がカットした「トリプル・エクセレント」の最高級品。

必要個数が日本で揃わなかったので、アントワープまで買い付けに行きました。

買い付けに行ったのは2016年2月にベルギーのブリュッセル国際空港を使いましたが、3月にISによるテロが発生しましたので、タイミングがズレていたら・・・

ダイヤの格付けは「4C」と言って、カラット(重さ)　クラリティ(透明度）　カラー(色目）　カットの4点で評価します。

このダイヤは、カラットは直径4mm=0.45ct前後で統一。そして透明度・色・カットともに最高級の「エクセレント」の格付けでした。

画像をクリックすると拡大します。
３箇所にEXCELLENTの記載が確認出来ます。

背面のサンレイ(放射線状）カットに加え、表面に大粒ダイヤを受け止めるだけの厚みのあるエンブレムを乗せる為にひし形に「チャンネル」(溝)を掘り下げたました。

表面の溝と背面の切り込みが近づきすぎると石が薄くなり、強度が大幅に落ちる為です。お納めした後に割れるとクレームになりますので、叩いたり落としたりして強度テストをして、合格品のみ装着しました。

なんと歩留まり7割・・つまり10個に3個は割れてしまいました。大損害！！！

高価なダイヤで予備も少ないので、割ると大変なことに・・・。
シトリンの損害を大きく上回りますので緊張します。

大粒ダイヤを先に留めると、小粒ダイヤを留める時に工具が当たったりしてキズや割れのリスクがありますので、先に小粒ダイヤを留めました。

小粒ダイヤを留める時は、最新の「テンパーチャードクレイ」という暖めると緩くなり、冷えると固まる固定用粘土を使用しましたが、クレイはとても硬くなります。大粒ダイヤを留める作業では、爪を倒す叩く作業の力を分散させたいので、クッション性のある天然の松脂を土台にしました。

テーブル(表面の平らな部分）は平行か？(見た目に影響）

斜めになっていないか？
(真っ直ぐ留めないと取れのリスク有り）

浅過ぎないか？深すぎないか？をチェック。

この作業だけは、誰にも任せられません。
作業の上手い下手というより、ダイヤ割れのリスクをスタッフに背負わせられないからです。

まだ仮フィッティング段階なので、クレーター内部をクリーニング処理していません。

エンブレムは少し大きめに作ってあり、個別にフィットする際にエンブレム裏や側面をやすりで削って、シトリンのチャンネル(溝）にどんぴしゃりに入るようにするインレイ(Inlay=象嵌）という技術を使います。

キャップとかソーマ(Somma:外輪山）と呼びます。

補強として裏側にエポキシ系の接着剤を少し使用します。

この後、更に二重補強のために、エンブレム周囲を薄く高透明樹脂で覆います。

また、黒美仕上げ処理も行います。

わかりますでしょうか？エンブレムは、ベースボールダイヤモンド形をしていて、一番手前の角だけホームベース形です。